日時:2025年8月29日(金) 14:30~16:30
・見学先:(株)日阪製作所鴻池事業所 熱交換器事業本部
大阪府東大阪市東鴻池町2-1-48
・参加人数:5名(PE会員3名、PEN会員1名、非会員1名)
大阪府は東大阪市に位置する株式会社日阪製作所様にて、8月29日(金)に施設見学会を実施しました。日阪製作所様は1942年創業の老舗企業であり、「人びとの暮らしを支え、豊かにする」という創業以来の使命のもと、熱交換器事業、プロセスエンジニアリング事業、バルブ事業の3つを柱に製品を提供されています。
日阪製作所様はBtoB企業であるため、一般の方にはあまり馴染みがないかもしれません。しかし、熱交換器事業の製品は、石油化学プラントをはじめ、船舶、発電プラント、製鉄プラントなど、幅広い分野で活用されています。さらに、プロセスエンジニアリング事業においては、市場に流通するレトルト食品の6~7割が、日阪製作所様の殺菌装置によって処理されているといいます。まさに「縁の下の力持ち」として、私たちの暮らしを大きく支えてくださっている企業です。
また、日阪製作所様が所在する東大阪市は、航空機や自動車部品をはじめ、世界的に優れた技術を有する中小企業が数多く集積する「モノづくりのまち」として広く知られています。
さて、今回ご対応いただいたのは、熱交換器事業本部 設計開発部 設計開発課の大軒課長様(PE)で、会社のご説明をいただきました。熱交換器には、古くから使用されている多管式熱交換器(シェルアンドチューブ式熱交換器、S&T)をはじめ、プレート式熱交換器、空冷式熱交換器(エアフィンクーラー)、スパイラル式熱交換器など、さまざまな種類があります。その中で、日阪製作所様ではプレート式熱交換器を生産されているとのことでした。
続いて、以下の順に施設見学を行いました。
1) ブレージングプレート式熱交換器(BHE)
BHEは、エコキュートなどに使用されている熱交換器です。
ブレージング(Brazing)とは「ろう付け」のことで、ろう材と呼ばれる合金を接合部に挟み込み、接着剤のような役割を果たして接合部を形成します。日阪製作所様では、ろう材として銅またはニッケルを使用しているとのことでした。
BHEは、大型連続真空加熱炉を用いて、予熱からろう付け、冷却までを一気通貫で生産していました。筆者はこれまでバッチ炉しか見たことがなかったため、その規模に大変感銘を受けました。ろう付け後は、全品に対して耐圧気密試験などの検査を行い、出荷しているとのことでした。
2) プレート式熱交換器(PHE)
PHEは、ステンレス鋼などの耐食性金属の薄板(t=0.5)をプレス成形して伝熱プレートとし、シール用ガスケットをはめ込みます。次に、この伝熱プレートを積層し、両サイドを厚肉フレームで挟み込んでボルト止めすることで完成します。
伝熱プレートを成形するプレス機は、世界最大級である4万トンプレス機(世界に3台しかないうちの1台)をはじめ、全自動2万トンプレス機や高速自動4千トンプレス機が導入されていました。なかでも4万トンプレス機が稼働する際の重低音は迫力がありました。
大型伝熱プレートの洗浄工程ではロボットとコンベヤ型洗浄装置で完全自動化されおり、これもまた圧巻でした。
厚肉フレームの機械加工は一部内製されており、超大型フライス盤とマシニングセンターを組み合わせた工作機械が使用されていました。大型の機械が多く、非常に見ごたえがありました。
最後は日阪製作所様の熱交換器ギャラリーで集合写真を撮って施設見学を終了しました。
学後は部屋に戻り、開発部の方よりCO₂回収プラント用プレート式熱交換器の概要についてご説明いただきました。CO₂回収に必要なアミン溶剤に耐性を有するガスケットまで開発されており、機械分野のみならず化学分野にも強みを有する企業であることを知り、大変印象深く感じました。
施設見学後は、鴻池新田駅近くの居酒屋にて懇親会を実施し、日頃接する機会の少ない方々とも交流を深めることができました。今回の見学は大変有意義なものとなりました。
最後に、貴重な半日をご割愛いただき工場をご案内くださった大軒様と北村様に、心より御礼申し上げます。
厚肉フレームの機械加工は一部内製されており、超大型フライス盤とマシニングセンターを組み合わせた工作機械が使用されていました。大型の機械が多く、非常に見ごたえがありました。

集合写真
