開催日時:2023年12月23日(土) 9:00~12:00
講師 :西久保 東功 様
CPD & PDU :3.0 PDH & PDUを提供
形式 : Web (Zoom)
参加人数:7名(PE5名、PEN1名、非会員1名、講師含む)
テーマ:
組み込みシステムにおけるハードウェアとソフトウェアの境界の変化 ~ADI TrinamicのHarwired設計~
Boundary condition change between hardware and software in embedded system ~Hardwired design by ADI Trinamic~
要旨:
組み込み系のシステム開発においては、ハードウェア担当は回路設計、ソフトウェア担当はそれを動かすものという役割分担が長年されてきた。利用する半導体デバイスについて考えると、一つのチップの中に周辺の受動部品を取り込むだけでなく、電圧レギュレータなどのように内部に出力電圧を安定させるフィードバック機能をハードウェアが有するといった、従来ソフトウェアが担っていた機能の取り込みが進み、ハードウェアとソフトウェアの境界があいまいになりつつある。この背景には、ソフトウェアは万能に見える一方で、プログラムが大きくなるほど組み合わせの検証に膨大なリソースが必要となるデメリットがある。モータ制御の分野においても、この流れが生まれており、制御自体を論理回路で実現するHardwired設計が徐々に浸透しつつあり、ハードウェアとソフトウェアの境界に変化が生まれている。講演では、講師の所属するAnalog Devicesの製品群の1つTrinamicを扱い、従来の組み込み開発とHardwired設計の違いについて議論を深める。
実施報告:
Hardwired設計は肥大化しているソフトウェア開発をダウンサイズして合理的な開発が実現できるようになる半面、標準化してHardwiredで実現していい機能と、自社の強みとして差別化がいるためHardwiredすると困る機能があることを説明いただいた。今日の工業製品の多くには制御機能が入って行って、その機能は広がりつつある。その基本はソフトウエアによるデジタル制御機能である。今回の講義では、制御を一部Hardwiredとし、設計者負担を軽くして、より多くの制御が開発可能になり、使用可能になることを分かり易く、説明して頂き、とても良い講義であった。
また、ワークショップ形式で他の会員との議論が弾み、刺激になったという感想もありました。